日本語組版におけるダッシュ記号
概要
日本語組版において「ダーシ」「ダッシュ」と呼ばれる横棒(特に二倍ダーシ)には複数のUnicodeコードポイントが存在し、それぞれ禁則処理やフォントレンダリングの挙動が異なる。retrial-law-reform-2026のような文書(特に縦組みの小説や法律文書)で正しく扱うための知識。
主要なコードポイント
| コードポイント | 名称 | 用途 | 禁則状況 |
|---|---|---|---|
| U+2010 | HYPHEN | 単語のハイフネーション | — |
| U+2013 | EN DASH | 範囲(例: 1973–1984) | — |
| U+2014 | EM DASH (―) | 文の流れの中断・ダッシュ | 強い禁則で行頭禁則文字に登録済み |
| U+2015 | HORIZONTAL BAR (―) | 日本語の二倍ダーシに最適 | プリセットの弱い禁則では未登録だが情報パネルでは分離禁止文字扱い |
| U+2500 | BOX DRAWING LIGHT HORIZONTAL (─) | 罫線素片 | 禁則未登録、その他の和字扱い |
| U+2E3A | TWO-EM DASH (⸺) | 中国語の破折号 | — |
| U+002D | HYPHEN-MINUS (-) | レガシー、意味的に曖昧 | — |
二倍ダーシの実現方法
推奨: U+2015 (HORIZONTAL BAR) の200%拡大
- 日本語組版での2倍ダーシとしては U+2015 が最も適切。
- 文字送り方向に200%に拡大して使用(InDesignなどのDTPソフトで設定)。
- 源ノ角ゴシックを代用可:GSUB機能により適切な字形に自動置換(3字分まで対応)。
- 行末/行頭で分割されないようにするには、禁則処理セットの「分離禁止文字」に別途登録が必要。
U+2014 (EM DASH) の注意点
- プリセットの「強い禁則」では行頭禁則文字に登録済み。
- フォントによって位置も長さも異なるため、一律の拡大には向かない。
U+2500 (BOX DRAWING) のリスク
- 「分離禁止文字」に未登録のため、行長調整でアキが割り振られる可能性がある。
- 「その他の和字」扱いのため、欧文/英数字との間に和欧文間隔(四分アキ)が発生。
- 登録すれば行長調整のアキは割り振られない(禁則設定次第)。
分割禁止文字シーケンス (JLReq)
W3C JLReq(日本語組版要件)では以下の連続を分割禁止と規定:
- 連続するEM DASHまたはHORIZONTAL BAR(――、――)
- 連続するリーダー/二点リーダー(……、‥‥)
- 欧文数字列
- 前置き/後置き記号+数字
- 欧文単語内(ハイフン位置を除く)
- ルビ内、親文字と添字間、参照記号前・内
Unicode 標準上の分類
Unicode 17.0.0(Chapter 6, Table 6-3)におけるダッシュとハイフンの一覧では、U+2014 (EM DASH) と U+2015 (HORIZONTAL BAR) は別個の文字として定義されている。日本語の二倍ダーシはU+2015が正式に対応するが、実際のフォント実装では混在・混同が見られる。
関連ページ
- retrial-law-reform-2026 — 再審法改正文書でもダッシュ記号の正しい組版が関係する
- deep-dive — 組織文書の組版品質